仮想通貨(英語:Virtual Currency)は今や世界で2千銘柄以上が1万8千もの交換所で売買されている。市場時価総額が年始の約8,200億米ドル(90兆円)から約2,100億米ドル (約20兆円)へと反落し、その価格は乱高下。
投機対象としてその価格変動に一喜一憂する見方も多いが、仮想通貨の社会経済的な価値の正しい理解を促したい。
尚、日本政府は仮想通貨の呼称を「暗号資産」へと変更する法改正案を閣議決定(2019年3月15日、2020年6月迄に施行見通し)し、海外では当該資産は暗号通貨(Cryptocurrency)が通称だが、ここでは便宜上全てこれらを仮想通貨とする。
1. 仮想通貨の生みの親は Satoshi Nakamoto
全ての仮想通貨とそのIT技術の基礎や理論は 、Satoshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)たる人物が2008年10月に暗号学関係者メーリンググループに公表した僅か9ページの論文 “Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System” (日本語訳:「ビットコイン: P2P電子通貨システム」、それから一年程かけて確立したビットコインのプロトコルと、その取引及びマイニングソフトウェアであるBitcoin-Qt等が起源となっている。
厳密には1991年〜1992年に暗号学上その類の認証技術研究はあったが、インターネットが普遍的になったのは2000年代であり、Satoshi Nakamoto が仮想通貨とその土台となるブロックチェーン技術(インターネット等を利用した台帳管理の仕組み)の生みの親と言われている。
ビットコインの開発はインターネット上で進捗したが、2010年半ばから Satoshi Nakamoto の消息は不明となっている。もともとメールアドレス等以外には開発関係者にも一切身分が明かされる事はなかった。
少し話は逸れるが、Satoshi Nakamoto は98万ビットコインを保有しており、ビットコインから派生したアルトコイン等も含めると資産総額約8千億円超(*現時点)と想定される。世界中の税務当局からも、(その保有量のインパクトからも)仮想通貨市場からも、この人物像については注目すべき大きな謎である。