本質的な仮想通貨の意義、さらにその技術であるブロックチェーンの素晴らしさを説明するには、少し「お金」というテーマについて触れる必要がある。
2. “お金” とそれを管理する台帳
東京から南に約2903km、ミクロネシア連邦のヤップ島(Yap)をご存知だろうか。第二次世界大戦終結までは日本の委任統治領だった島(現在はアメリカ合衆国信託統治領)だが、500年以上前より結晶質石灰岩を削ったライ(Rai)と呼ばれる石貨を “お金” として使う事で知られている。”お金” が経済活動における何ならかの価値の代替物である云々についてのくだりは省くが、ここで重要なのはライの大きなものが直径3.6m・4トンにもなるという事だ
現代の紙幣や貨幣のように、ヤップ島民が石貨ライを持ち歩いて利用する事は難しかった訳で、その為、石貨ライの所有権の移転(部分所有も含む)は、それ記した帳簿「台帳」で管理された。ライが島のどこにあっても、または、それが海の底に沈んでいても(実際、船で運ぶ過程で沈没したものも)、価値を代替する象徴「お金」としてその役割を果たした。
つまり、「お金」として機能するかどうかには、それそのものの機能的な価値や存在する場所も関係が無く、重要な事は以下の2点である事がわかる:
皆がその価値を認めているのか?
捏造される事なく台帳管理されているのか?
実際、円、米ドル、ユーロ、ポンド等の各国で利用されている法定通貨も、各国の中央銀行や国家の保証する機関が発行した紙幣や硬貨で、所詮それらは紙切れや加工された鉱物に過ぎない。実際にそれらを手元で受け渡ししているかとういと、実際は各種金融機関にある数々の台帳の書き換えで済むケースも多い(例:給与の銀行振込・振替、クレジットカード利用における銀行引き落とし、住宅ローンの銀行引き落とし、等)。
法定通貨のみならず、株や債券等の有価証券も、結局は皆にその価値が認められ、台帳管理されている。現代においては、きちんと皆が認める形で台帳管理されていれば、実際にその価値の代用物がどこにあるのかはあまり関係無い。