日本では大麻は「麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)」(通称:麻薬取締法)で厚生労働省により厳しく取り締まられている。『ダメ。ゼッタイ。』と呼びかけている薬物乱用防止キャンペーンに合わせ、国立精神・神経医療研究センターが青少年の薬物使用に関する調査の結果を発表した。
若年層で増える大麻使用者
大麻の使用を「全く構わない」や「少々なら構わない」と考える中学生がここ2年間で1.5%から1.9%(2018年)に増え、大麻乱用の生涯経験率(男子中学生)も4年前の0.3%から0.5%(2018年)へ。大麻に対する警戒心が薄れ、興味本位や軽い気持ちが広まっているのであれば問題だ。
テレビでは芸能人が日常茶飯事のように大麻で(覚醒剤なども多い)逮捕されているが、日本全体ではどうだろう?
薬物事犯全体及び大麻事犯の検挙人数の推移

検挙や逮捕に至るかどうかは厚生労働省や捜査当局の方策をどこに振り向けるかによるところも大きいが、上記統計によると、薬物事犯全体における検挙者がほぼ横ばいの中、大麻事犯による検挙が急増しているのが分かる。
人口10万人当たりの大麻事犯検挙人数の推移

また、年齢別人口当たりの大麻事犯の検挙者(上記添付)の推移を見ると、未成年者や29歳以下の若年層が多いことが明確だ。
何故、若年層における大麻への考え方が柔和し、使用が増えているのだろう?
マクロ経済環境?家族構成の変化? – (成人であれば合法だが)嗜好品としては同じ部類にある飲酒・喫煙は生涯経験率が低下し続けている。若年層における大麻のファッション(=流行)化は可能性としてあるが、私は世界各国で急速に進んでいる「大麻の合法化」がその原因でないかと考えている。
米国では33もの州で医療目的での大麻が合法化され、ワシントンDC及び11州で大人(21歳以上)による嗜好品としての使用も可能になった(2019年7月現在)。昨年10月にはカナダがG7諸国では初めて全面合法化に踏み切り、メキシコでは最高裁が「大麻の禁止は憲法違反である」と判決した。
世界の合法大麻市場は現在約140億米ドル(約1.5兆円)、年率25%で成長中
嗜好品としての使用に対する考えは世界各国見方が異なるが、医療目的については間違いなく合法化が世界に広まっており、足元では、グローバル製薬会社がその生産への投資を進める準備段階のようだ。合法大麻の生産は新たな一大産業であり、ベンチャーキャピタル投資家やプライベートエクィティ投資家の関心を集めている。
日本の中学生がこういったグローバルな潮流を捉えてアンケートに答えているとは考えにくいが、世界に広まる大麻の合法化が間接的に、多大なる誤解も交えて「海外生活やファッションの “流行”」として影響しているのかもしれない。