トランプ大統領が就任した直後、当時大人気だったテレビ・ドラマ House of Cards(ハウス・オブ・カーズ、米国政治の中心であるホワイトハウスやワシントンDCが舞台)主演の Kevin Spacy(ケビン・スペーシー)が「実際のトランプ政権の方が(テレビドラマより)エキサイティングなんだ」と若干困っていたのを思い出す。
トランプ大統領、習近平(しゅう きんぺい)主席、そして文在寅(ムン・ジェイン)大統領と、それぞれの手腕がドラマチックだ。派手さで安倍首相は見劣りするが、この度の経済戦争では(幸か不幸か)日本もメインキャストとなっている。
米国と中国の経済摩擦が急速に激化している。トランプ大統領は中国原産の輸入品(3千億ドル相当)に10%の追加関税を課すと8月1日に表明したが、中国企業による輸出価格の引き下げを煽る思惑が外れ、人民元相場は急落。
米国財務省は(5日)、中国人民銀行(中央銀行)が1米ドル=7元を超える人民元の下落を容認したとして、中国を「為替操作国」に認定した。人民元の対ドル相場が2008年以来の水準に下落、米国S&P500(株式)は2ヶ月ぶりの安値へと急落した。
中国の「為替操作国」認定はトランプ大統領の当選前公約だが、2020年の再選を目指した思惑も見え隠れする。中国は国有企業に対して米国産農産物の輸入を停止するように要請、輸入関税の引き上げも考えており、事態改善の兆しはない。

一方、日韓関係も日増しに泥沼化している。(日本政府による)韓国のホワイト国からの除外が起爆剤となり、諸々の過去の日韓史に根ざす「反日」キャンペーンを文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「我々は二度と日本に負けない」と旗振りしている。韓国も日本をホワイト国から除外し、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を検討、日本製品の不買運動が強化され、韓国経由で日本へ向かう空路の団体観光客の遮断さえ話に挙がっている。
日本円は日韓よりも米中動向の影響を受けている見方が多く、足元は円高(対米ドル)・株安となっている。韓国ウォン(対米ドル)は株価(KOSPI)同様、約2年半ぶりの安値。文在寅大統領は5日に開いた首席補佐官会議で「北との協力で一気に日本に追いつける」と南北経済協力を力説しているが、わずか数日前に北朝鮮が(米韓合同軍事演習計画への警告として)ミサイル2発を日本海へ発射したばかりである。
国際経済のみならず、外交スタンスも含め情勢がカオス化し、ニュースから目が離せない。